今年の1月末に行った、ベトナム・ダラットのオーガニックコーヒーファーム。

星野くん撮影&編集の動画がアップされたので、思い出しブログです。

なんだかもう懐かしいなぁ。

ベトナムについては、たくさん書きたいことがありますが、今日は先ずこの動画について。

この時、コーヒーファームに寄るよ、とだけ聞いていたので、コピルアクの生産現場と知ってビックリ。

一般的なコーヒーファーム見学でも嬉しいのに、まさか!でした。

ベトナムではほとんどが、インスタントコーヒー用で知られるロブスタ種を栽培してるらしいのですが、このファームでは100%アラビカ種を栽培。

ジャコウネコたちに対しても極力負担の少ない飼育方法をしている、と。

動画内で、日本だと1杯3,000円と話していますが、それは結構良心的なお店で。リッツでは1杯たしか8,000円でした。

こちらのファームでのコピルアクのお値段は、コーヒー豆10g200,000vnd。

1kg辺りで日本円にすると、、、ひゃーー!!
1kg、10万円!!!じゅうまんえん!!!

世界で一番高価なコーヒー豆だとか。

コピルアクって、起源に諸説あり、、、奴隷たちがうんぬんといったなんとも哀しいお話も。

また、生産過程で動物たちを酷使している場合もあったり、と色々と考えるところの多いコーヒーです。

しかし、どうしてまた、動物の糞のコーヒーにこんなにも価値がついているのか。それがずっと、とても不思議でした。

たしかに、本来のコピルアクの製造過程を知ると、とても希少価値の高いものだと理解出来ます。自然の中で自由に生きている野生ジャコウネコたちが、自ら良質なコーヒーチェリーを選別して食べる。ジャコウネコは本当に美味しくて熟れたコーヒーの実しか食べようとしないのだそうです。

人間がコーヒー豆を選別収穫するよりも、はるかに優れた選別能力がある。それが、結果として良いコーヒー豆しか使われていないことにつながるとか。

そして、ジャコウネコの体内で約12時間も自然発酵される。腸内の消化酵素によってコーヒーに含まれるアミノ酸が分解され、独特の香味が生まれる。また、肛門近くに麝香に似た成分を持つ分泌腺があるため、排泄に伴い香りが豆に加わる。

極めつけは、自然の中で生きているジャコウネコたちの糞を拾い集めることが、イコール収穫ということ。しかも、ジャコウネコたちがいたしてから2時間以内に集めないと、すぐ豆が劣化するのだそうです。まぢか。

自然の中で自由に生きているジャコウネコたち。いつ、どこでするか分からないそんな彼らの糞を、彼らがいたしてから2時間以内に集めるとか、、、超難しいっていうかそんなん無理すぎない?

そんな難関を通り、綺麗に洗浄して乾燥させ、外皮を取り、焙煎し、挽いて、淹れる。コピルアク、そりゃぁこんな行程通っていたら、めっちゃ希少なコーヒーです。幻のコーヒーですよ。幻です。幻。

希少なのは分かります。動物の選別能力や、体内発酵が種(コーヒー豆)に与える良点もなんとか理解出来ます。けど、難関だらけだし、効率的な生産性もない、しかもうんち。なんで?なんでそんなコーヒーにこんなにも価値がついたの??

って、気になって調べてみたら、火付け役の方がいらしたのですね。
マルチネスコーヒー経営者、John Martinez(ジョン・マルチネス)氏。自身の会社でコピルアクを扱い、イグノーベル賞を受賞されています。

1995年 栄養学賞
ジョン・マルチネス(アトランタ、J・マルチネス株式会社)
世界で最も高価なコーヒー「ルアク・コーヒー」に対して。

イグノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるノーベル賞のパロディー。今年のイグノーベル授賞式、さっきたまたま調べてびっくりしましたが、今日(9月14日)なのですね。まさか今日って(笑)

なんだか偶々にびっくりしすぎて、ブログを書き出した訳です(笑) こういうノリの時って文章いっぱい書けちゃう(笑)

今月下旬からは世界初の「イグ・ノーベル賞」公式展覧会が東京で開催される予定だとか。

イグノーベル賞って面白いですよ。

2012年の文学賞は、アメリカ合衆国政府監査院。
「報告書についての報告書についての報告書についての報告書の準備を奨励する報告書についての報告書についての報告書を発行したことに対して」ですって。

頭おかしい、、、というかなんというか。ネタ的にも感じてしまうことにマジに取り組んでいる人々を評価したり、皮肉を込めて受賞者を選定するイグノーベル賞。

イグノーベル賞のことは書き出すと長くなるのでとりあえずさておき。

そもそも、ジョンマルチネスさんは、
『自身の扱う特別なコーヒー豆(ブルーマウンテン)の価値が法外な値段では無いことを知ってもらいたかった』ために、
コピルアクを比較対象として取り扱い始めたのだとか。

なのにコピルアクの方が、一部のお客さんから希少性を高く評価されちゃった。そしてコピルアクは世界でもっとも高値で取引されるコーヒーとなったのだとか。

そして、イグノーベル賞を受賞したことで、コーヒーファンのみならず、幅広く認知されることに。しかし栄養学賞って、、、!

話題性が高く、希少性も高い、高く売れるものであればどうなるか、、、
その商品を作って売ろうと考える人々が出てきます。求める消費者が多ければ、天然物だけでは足りなくなり、養殖システムが出来、偽物や紛い物も出てくる。

現に、ベトナムには粗悪な偽物もたくさんありました。どこの市場にいってもpooコーヒーの様々な種類が必ずあるのです。けれど、ダラット以外では、コピルアクはほぼ粗悪品と捉えた方が良いそうです。

コピルアクに纏わる商品を生産することで、生活の糧を得ている人々が存在してる。それらの偽物が現実にたくさんあるということは、それだけ求めてる消費者が多いということ。好奇心なのか、お土産としてなのか、なんなのか。

ベトナムだと、CAFE CHONとか、Weasel coffeeって表記してありました。イタチコーヒー、、、。

ジャコウネコって、いろんな種がいるんですね。ハクビシンもお仲間だとか。たしかに、ちょっと顔が似てる。ハクビシンって可愛いんですよ。名古屋城の近くで、猫かと思って見てたらなんか違ってハクビシンで、なんだか目が合ったままフリーズしてて。街中にもいるんですね。可愛いんだけど、めっちゃ野菜食べられちゃって困る(笑)

ベトナムでは、リスの糞コーヒーが人気なんだそうです。タヌキコーヒーとかモンキーコーヒーとかもあるんだって。キツネコーヒーとかもありそう。

だったら、日本で害獣として嫌われちゃってるハクビシンも、コーヒー生産に関わったらもしかしたら人気者に?!

ゾウの糞コーヒーの方がコピルアクよりも価値が高いなんてことも聞いたことがあります。うぅーん、、、

動物たちが自然に食べてて、自然に排泄していて、それを人が活用させてもらってるってのであれば、なんとなく価値は分かります。

その場から動けない植物たちは、動物たちに種を運んでもらう。動物の腸内発酵が、種に及ぼす影響って様々。コーヒー豆も、豆と呼んでるけれど種だし。

鳥の糞の中にある種を拾って、洗って、蒔いてみたりしているので、なんとなく糞の中の種に好奇心を抱く感覚は分かります(とはいえさすがに食べたり飲んだりしようという域までは達せてないけど笑)

けれど、養殖というかいわゆる家畜化してまで糞コーヒーを生産ともなると、そんなの味も香りもほとんど違うものが出来上がるんじゃないかなーと。

動画で、「香りはなんか、思ったより、、、。沈黙」ってしてるのは、そんな感覚から。

とはいえ、この動画で伺ったファームは時期によっては放牧(というのかな?放し飼い?)もしているらしく。現に、通路とかにもコーヒー糞が落ちてたりしてました。

家畜化というよりは、価値のあるものを良質に生産しようと努力なさっているように感じました。味は、苦いのに、変な後味が残らなくて美味しかったです。とても、貴重な経験をさせていただきました。

たとえば、動物保護を優先すれば、コーヒー豆の値段はさらに跳ね上がってしまう。それは結局、動物にしわ寄せがいっちゃうことに。

うーむ、こういうこと書き出すと、なんだか話がいろんな方向へ行ってしまいそうなので、この辺で。

なんだかね、コピルアクっていう存在から、「商品」ということについて、色々考えちゃいました。

やっぱり、商品の価値を決めるのは、つくり手じゃないんだな、と。

買い手が、商品の歩む道を決める。

表面の情報のみを選択する買い手が増えると、本質はさておきで金額価値だけが独り歩きしだすんじゃないかなぁって。

そうすると、生産現場はグレーになりがちで、偽物や紛い物がはびこってしまったり、何かにしわ寄せが行ってしまう流れが作られてしまっていたり。

作り手である場合は、本質を守り愚直に生産を。

買い手である場合は、本質を知り、悪しき流れを極力作らない選択をしたいなと改めて考えた、涼しい雨の明け方。

もう彼岸花が満開。

すっかり秋の気配ですね。

最後に、星野くんのベトナム動画、その1~。

いつの間に撮ってたんだ?!という撮影技術そして編集まで、本当に、星野くんは多才だなぁと思います。

その1

その2